English Original
Sails Explained by Yann Elies.
July 15. 2016
バンディ記事:2016年7月15日
セールの選び方
YANN ELIESが一般論としてセールのことを説明します。
2016バンディグローブを戦うためには実際9枚の異なったセールが必要ですが、多くの場合ただ2つに集約されます。状況と位置によって、セーラーはできる限り最高の性能を出すようにそれをセットします。これらのセールは何でしょうか、そしてどのようにしてそれぞれを使い分けるのでしょうか? バンディグローブで戦う前に、Yann Eliesはセール作りの大家ですからこのことを説明するのにふさわしいと思われます。
もし私たちがルマン24時間レースを見たとしても、誰もレース中に何度もエンジンが交換できるなどとは思いもよりません。そして、性能に影響するキャブレターやコースの形や状況での安全面からの要請によって、重要な部品が交換されるなどさらにありえないことです。しかし、バンディグローブのセーラー達にとっては全くあり得るのです。彼らはエンジン(セール)を取り換えるのです。海や風の状態に合わせたセールやどれだけ風に向かっているかによって、彼らはボートのセールの大きさを交換するのです。これらのことを書いた本はあります。しかし、それらはしばしば高度に技術的です。そして一般大衆の理解力を超えて難解です。そこでYann Eliesにこのことをもっと簡潔に説明してもらいましょう。彼はこの重要な議題について私たちが招へいした先生になります。彼の助力に感謝します。
船に積まれる9枚のセール
2016年、バンディグローブのスキッパーは9枚までのセールを積むことが許されています。Yann Eliesは説明します。「過去のバンディでは、13枚積めました。しかし、私たちのスポーツが進化すると少なくなってきました。2つの理由があります。まず最初に今日ではより広い範囲で性能を出すセールを作ることができるようになったことです。そして2番目には、私たちはコストを気にしなければならなくなったことです。セールは非常に高価です。そしていつも私たちはコストを削減する方法を探しています。なので、これはコストを下げる方法なのです。私たちは望めば9枚以下で出発することが許されています。しかしほとんどの挑戦者が許された最大限の枚数を載せようとしています。
走るのに2枚は必ず必要です:メインセールとJ2です。
Yann Eliesが説明します。「極端なことを言えば、メインセールとJ2の2枚のセールだけあればいいのです。積まなければならないセールがたくさんあっても、非常によく使うのはこれらだけです。」
メインセール
これは一番よく知られたセールです。それはブーム(帆の横支柱:帆桁)の最も後ろまで張られ、約30mあるマストの頂点まで張られます。重大な突発事故がない限り、それはバンディグローブを通して張られたままです。(簡単に装着され点検や突発事故があっても片面で受け止めます)そして港の玄関の海峡を離れる時掲げられ、80日後、終点に向かった時、初めて降ろされます。いつも実際にの局面では、メインセールは風の強さによる影響を減少させるために根本的な役割を果たします。それはリーフ(帆を縮める)やシェイキングアウト(帆を繰り出す)を含み、マスト上でセイルを低くすることにより、自動的にブームに沿って帆の端の長さを縮小します。その面積は、(私の)Groupe Queguiner 号がフルセールにすると280平方メートルに達します。しかし、その名前が示唆することに反して船の中で最大の帆ではありません。スピンネーカーや大きいゲネカーがもっと大きな面積を持っています。Yann Eliesは「メインセールには4つのポジション(面積変更位置)があります。そして4つの異なった面積になります。1リーフ(縮帆)、2リーフ、そして3リーフです。あるレーサー達は4番目のリーフを使います。それはマストトップまで上がっている状態です。(リーフとは言わない)」と説明します。
J2
Jセールはジブや、ジェノア・セール
(ともにメインマスト頂点から船首を結んで張る帆)に代表される極めて使いやす帆です。番号はステイ(船体からマストトップに向けて張られた鉄線の索)の取り付け位置と一致しています。これらのケーブルはマストとデッキを結んでいて、あるものは船首三角帆(ヘッドセイル)を取り付けるために位置変更が可能です。1番は船の船首に取り付けます。(しかし、バウスプリット(船首から突き出た帆桁)にではありません。それは大きな追い風用のセール、スピンネーカーやジェネカーを張ります)2番は甲板上をわずかに後退したところ、3番は極めてマストに近いところにまで後退したところにセーラーの必要に応じて張ります。
IMOCAでの帆走に2番目に必要なJ2について始めましょう。Yann Eliesは「私たちはメインステイ(メインマストを支える索)を固定し、そしてあるべきところに残します。J2はメイン策に取り付け、ファーラー(巻き取り装置)に装着します。それはバテン(帆の中に入れる細い板:張りを保つ)がある唯一の船首三角帆です。それはいつもあるべきところに入っています。これは風に向かって45度から110度120度角まで幅広い範囲で使うむしろ平面セールです。そしてある時は強風での追い風にも使います。J2はおよそ100平方メートルあります。」と言いました。これは私たちが注意して取り扱うべき重要な帆です。そして、例えば、私たちは時々その目的の場所ではリーチャー(左右非対称のスピンネーカー)を使います。(下の9番目の帆という項を見てください)
主な追い風用のセール
スピンネーカー
スピンネーカーは船尾から吹く風に使用される風船のようなセールです。この大きなセールは400平方メートルと計測される、搭載される最も大きなセールです。バスケットボールのコートにも匹敵します。これは左右非対称のスピンネーカーです。そのため支柱は持っていません(普通のスピンネーカーは支柱(横梁棒)を使う)Yann Eliesは「たとえもしそれを取り除こうとしても今もって私たちはみんなスピンネーカを搭載します。一人で航海する時には、この大きなセールを使うことは現実的ではありません。実際にはそれは巻き取ることができない唯一のセールなのです。いずれ、おそらくホイル艇を操縦する人はそれなしでできるでしょう。私たちはそれなしで8年間試してきました。しかし今もって現在もそれは必要なのです。私たちは二人で航海する時には、それを船尾からの5から25ノットの風で使います。単独航海の時は、風が25ノットになる前に、それを直ちに降ろすようにします。このスピンネーカーは船首の延長支柱(バウスプリット)に装着します。」と説明しました。
ビッグ・ジェネカー
ビック・ジェネカーは300平方メートルあり実に大きいです。「ファーラーに装着されたこの大きなセールはスピンネーカーと同じ状況下で使用されます。私はそれを120度から160度の間で風に向かい15から30ノットの間で使います。15ノット以下ではスピンネーカーはわずかに効果的です。しかし、ビッグ・ジェネカーは時にはスピンネーカーが裂けたり失われたりすればそれにとって代わることができます。これは風速が30ノット以下で、私たちが使える大きな追い風用のセールなのです。」30ノットは陸(おか)では毎時55km以上です。
スモール・ジェネカー
200平方メートルのスモール・ジェネカーは風がまだ強い追い風の時の航海で使います。しかし、このセールは2重の機能を持っています。Yann が説明するところでは「スモール・ジェネカーは同じく船首延長支柱(バウスプリット)に取り付けられます。しかし、上端はJ2のちょうど上の、マストのてっぺんから数メートル下でハリヤードに装着されます。これは風速25から35ノットの間の強い追い風で航海する時の帆です。しかしこのセールはまた別の機能を持っています。それはまた微風の時、上りで(風に向かい帆走する時)コード0として使用できます。過去に私たちはこのためにコード0を持っていました。セールの数の制約の進展に伴い、私たちは2重に使える帆の使用を始めました。」
フラット・セール(平らな帆)
J1またはSolent(ソレント)
J1は最も大きいステイ(策)に取り付けられます。それは船首からマストの頂点に延びています。それは私たちが風に向かって帆走するに唯一適している平面セイルだということが想像できるかもしれません。しかし実際には、その140平方メートルという相対的な大きさから、それはそんなに役に立ちません。Yann Eliesは「それを簡単に説明すると、J1は風が10から15ノットかそこらの時は風に向かっていくにはいい帆です。しかし、私たちが風からさらにそれて帆を絞るのがむつかしい状態でもそれを使おうとすることがまたできます。大きなセイルのJ1は、幅広く使うことができます。風に向かって120から130度で上っていくことができます。」
J3、またはステイセールまたはORCジブ
J3は船首部分の最も離れた後ろにある最も短い策につきます。よってそれは理論的には最も小さいものになります。(50平方メートル)
Yann Eliesは「もともと、これは嵐の時と向かい風の時の帆です。厳しい天候の時に使う最後の帆です。しかし、もっと重要なのは、それは何にでも使える帆だということです。それは他の船首三角帆(ヘッドセイル)と合わせて使うことができます。(意味はボートは一度に3枚の帆、メインセールと二枚の船首三角帆(ヘッドセイル)を揚げるということです)J2と一緒に、それはもっともしばしば甲板に置いたり空中に揚がったりしています。私たちは風が10ノットを超えて、風に向かって90度から160度の時に、追い風に使うようにJ3を揚げました。それは全てのセールとの相性がいいのです。私たちは、例として、しばしばJ1+J3、またはスモールまたはビッグ・ジェネカー+J3の組み合わせを使います。それはボートを安定させ、そしてメインセールへの風の流れを直に助けます。また私たちが畳もうとする他の帆を覆い、幕として作用させようとする時、それは大変に有効です。数年前には、ステイセールは強風の中でクローズホールド(向かい風に向かってゆく)の帆走時のみ使われていました。今ではそれは平面セールにとって違って、その使用範囲は全ての時に拡大されています。ボルボオーシャンレースではそれはしばしば使用されています。どんな場合でも他人を傷つけないのは帆です。なので私たちはそれを適所に残そうとするのです。」と言いました。
二つの特別なケース
ストームセール
8番目のセールを見てみましょう。それは蛍光色のオレンジ色です。大変に小さく、そしてあなたはおそらく今までに掲揚されたのを見たことがないでしょう。 Yann Eliesは私達に理由を説明しました。「それは強制的に積まなければならないセールです。国際法に従って嵐の時に使うためです。私たちは4年ごとにファストネットレースでそれをチェックするために掲げます。そしてバックに戻し保管します。ただ、大型の嵐であっても、これらのボートでは、私たちはメインセールのリーフ(縮帆)かメインセールの代わりにJ3で帆走しますが。」
9番目のセール:秘密兵器?
多くの人が9番目のセールについて、それはMichel Desjoyeauxの魔法のステイセールで、やがて死を招いた兵器なのか、またはFrancois Gabartに勝利をもたらしたリーチャー(左右非対称のスピンネーカー)なのか、と言っています。セールの材質や大きさに条件制限がないセーラーは9番目のセールを選択します。それは重要な資産になります。その表面は115平方メートル近くあります。「それはいつも私たちの秘密のセールなのです。」とYann Elies は笑います。「湧き上がる疑問は、例えば、コード0または強風の中で使うセールを選ぶほうがよりいいのではないか?ということでしょう。このセールは欠くべからざるJ2によって何か余分なものになってしまいました。しかし、それは南氷洋での微風の追手に対してはより有効です。それは船首につけられて、そしてマストの頂点よりもむしろマストハウンズ(マスト上部についている止め金具)
に掲揚されます。大変に耐性があり、私たちはそれを実際にいつもインド洋や太平洋で使っています。それに加えて、別に大変重要な機能がを持っています。それはJ2を削ることができるということです。それは一旦ホーン岬を回って大西洋に戻る航海で必要になります。」
追加情報
IMOCA60艇でのセール交換はディンギィ(キールのない小型ヨット)やファミリークルーザーのように簡単ではありません。それぞれのヘッドセールは50kgから70kgの重さを持ち、時にはすべての付属品を含めて100キロ近くになるものもあります。「セールには、また、ハリヤード(セールを引き上げる索)、シート(ロープ)ファーラー(セール巻き取り装置)ホック(留め金)その他が必要です。」とYann Eliesは説明しました。それらはしばしば外に出しておかないとならず、すごく物理的に増加していることをセーラー達が気にする重量の均衡を下げてしまいます。
セール交換にはセーラー達の多くのエネルギーを必要とします。そしてYannが付け加えたように、時にはあなた方が交換をするために間違った意思決定をして数マイルを帆走せざるを得なくなった時には、失った場所の観点から損をしたことになり得ます。それが「なぜ正確に行うことが大切なのか」の理由です。そしてそれが価値があるのかどうかを見極めることです。バンディグローブレースでは、セールの組み合わせを変えることは、交換することから得る最低4~6時間の利益のためにコツコツと行うということを意味しています。もしセールを畳んだり畳まなかったりしなければならなくなったら、あなたは2時間周期でその交換をすることができます。
バンディグローブのスキッパーたちの間で大変に人気のある、特にノースセールやインシデンス・セール(セールメーカーの名前)が開発した最新の素材では、固くて、その形状を崩さない、相対的に軽いセールを持つことが可能になっています。それらは海の上でさえ容易に見つけられます。
秘密兵器か?
「私たちは魔法のセールを探す必要はありません、」Yann Eliesは言います。「しかし、目的はできるだけ多くの状況に対応可能な使いやすいセールを手に入れることです。そうすることで私たちは多くの動作のために多くの帆を持ち運ぶ必要がありません。南氷洋では、もし状況が困難でも、私たちはできる限り、前甲板の上での動作は省くほうがよりいいでしょう。私たちは3枚か多くて4枚のセールで帆走できます。
将来はもっと少ないセールで?
「それが流れです。そしてそれは可能です。例えば、フィガロレースのような6枚のセールという制限によって私たちはもっと進化すると思います。」
未来は?
「すでに帆を小さくすることができる翼を作る企画があります。それが起こるのはバンディグローブではまだ早すぎます。しかし、ホイル付きで見かけの風の巻き起こす高速力、私たちが今と同じかそれ以上の性能をめざして進んでいく自然の方向性は、セールをドンドン小さくし、ドンドン狭くなるメインセールの幅によって差がなくなる平面セールと曲面セールを生みだすでしょう。」
編集後記:
セールボートには自然に吹く、真の風に付け加えて、ボートが前に進むと時に作る風、見かけの風が作用します。(この風はあなたが自転車に乗っている時に風は吹いていなくても感じる風です。)海面を離れ飛んでいく計画にも同じ原則が隠れているのが真実です。
Brouno Menard/M&M
この記事とイラストを書くことを助けてくれた Yann Elies, Erwan Steff, Luc Joessel, Isabelle Keller そして Jean-Baptiste Epron に感謝します。
翻訳:Translated by Watson Courtier.
Create on July 25.2016