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航路上の気象


ニューヨーク・バンディ、2週間の天気予報

11月開催のバンデグローブへ一歩足をかけたIMOCA60艇のチームメンバーたちで、ニューヨーク・バンディレースは彼らとほとんど同じ熱気を帯びています。東向きの大西洋横断の航路を取ることは、スキッパー達がこの冬の無寄港世界一周で直面するほぼ同じ範囲の両極端な天気が、2週間以内に全て圧縮されて、彼らを襲うということです。

 

ニューヨークとレ・サブレス・デ・オロヌの間のレースコースにある最も顕著な障害は「アイスボックス」です。その南端が北緯43度のこのおおよそ範囲には挑戦者たちは安全上の理由から立ち入りを禁止されています。

 

もし挑戦者たちがニューヨークとレ・サブレス・デ・オロヌの間の航路を、大回りするとしても、または近道をするとしても、グランドバンクスからニューファウンドランドの南端まで続くニューイングランドとノバスコティア海岸の予想に反する浅い海域を避けるようにしなければなりません。

 

古くから伝えられているグランドバンクスの「パーフェクト・ストーム(大嵐)」はラブラドール海流(北極から流れてくる)の冷たい南に流れる水とメキシコ湾流(カリブ海の北から流れる)の暖かい水が出会うことでできるその濃霧で悪名高い。グランドバンクスはまた好漁場としても有名で、このエリアでは密集した漁船団が操業をしていて、単独航のスッキッパーにとっては2重の障害物になっています。

 

しかしながら、この海域でもっと大変な脅威は104年前に1400人の乗客とともに沈んだタイタニック号を沈めた氷山です。ニューファウンドランドの東は氷山街道として知られています。なぜなら氷山は西グリーンランドから生まれ出てバフィン島の南に漂っています。そしてラブラドール海流とここで最終的にぶつかります。しかしながら、それらは解ける前に、バミューダのはるか南まで、ならびにアゾレス諸島のはるか東まで流れることが知られています。そして今の季節はこれが最も起こり得る季節です。

 

幸いなことに、氷山が顕著な危険として残っているとしても、大きな氷山の位置の分析結果を公表している、カナディアン・アイス・サービスのような組織の衛星による追跡によってそれらの位置はほとんど知ることができます。

 

続く危険は、アメリカの東海岸から、通常の場合、北東にむけ北大西洋に出る、低気圧の主な進路上にレースコースがあることです。

 

理論的には、通常これらの低気圧の進路は有利な追い風レースになるコースの北側にあります。

 

レースの前半に、ハテラス岬で分流する前にアメリカの東海岸に流れ込む川の流れ、北東に流れるメキシコ湾流によってさらに強烈な天候が襲います。その地点では、メキシコ湾流は3~4ノットで流れます、そしてもし正しく操船すれば(幸いなことに、今日では挑戦者たちは衛星画像によってこれに乗ることができます)タダでターボエンジンを付けたようになります。しかし、どの川もそうであるようにメキシコ湾流は渦を巻き、もし間違えるとボートを等しく遅くしてしまいます。

 

アイスボックスに入るとこのレースは凍結されてしまうという噂がありますが、まったく真実ではありません。アイスボックスは挑戦者たちに南側を維持しようとさせます。そしてその結果は、大西洋を横断する残り半分以上を、挑戦者たちを暖かいメキシコ湾流の中に取り残します。そして、北大西洋の真ん中にもかかわらず、挑戦者たちはデッキの下で穏やかな温度を体験しながら、自分自身が着るシャツやTシャツを探す羽目になります。

 

一旦アイスボックスの東に出ると、レースの航路の範囲は広くなります。ここでは、彼らは南氷洋で会うような、北へ向かわせる低気圧によって助けられて、前に押し進められながらロケットスピードで帆走することが可能になります。

 

差がつきやすいのはアゾレス諸島の高気圧です。通常大西洋の真ん中に位置するこの無風の高気圧の風船は、その周りで活動する低気圧によって形作られます。夏にはしばしば、この高気圧は低気圧の進路によって、またはそれに挟まれて、北東へ広がります。これは、北ヨーロッパへの良い風をもたらします。しかし、ブレトン・サンバザーへ向かうのに良いことは、普通、挑戦者たちに取って良いことではありません。彼らは可能性をダメにしてしまい、遅れを取りもどせなくする無風地帯のことを考えなければなりません。

 

しかし、シングルハンドモードの最後の試運転、そしてバンデグローブとほとんど同じ状態を求めているIMOCA60艇のスキッパーたちにとって、これ以上のものはありません。

 

Translted by Watson Courtier. on July 15.2016.